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タイの人々の暮らし 第12回 食品関連事業者座談会「中間所得者層がカギ!」

平均的なタイの人々の暮しを紹介している連載企画「タイの人々の暮らし」は、今回が「食編」の最終回。前回の一般消費者座談会に続いて、今回は食品関連事業者の座談会を開催。飲食店やスーパーの経営者らが、タイの一般消費市場をどう見ているのか。匿名で本音を語ってもらった。

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一般消費者の食の動向についてどうご覧になりますか?

A(洋食レストラン経営者、日本人):確実に変わってきていると思います。所得が上がり、海外旅行などで外国の食事に接する機会が多くなったことや、核家族化が進んだこと、物流サービスが大幅に向上したことなどが背景にあると思います。

B(高級スーパー・バイヤー、タイ人):私もそれは実感します。以前は、陳列棚に並ぶ食材もローカルの定番のものばかりでしたが、嗜好が多様化し、陳列食材の種類や原産国の数も大幅に増えました。少量多品種の買い物をするお客様が増えました。

C(ディスカウントストア・マネージャー、タイ人):当店のような大衆向けの店でもそれは感じますね。かつては、1週間に1度、まとめ買いをするお客さんが多かったのですが、最近は頻繁に買い物に来られるようになりましたね。こまめに買い求め、鮮度の良いうちに消費するという習慣が付いたからでしょうか。

〝変化〟のきっかけは何だったのでしょう?

D(和食店経営者、日本人):1990年代後半から2000年ごろにかけての第1次の日本食ブームが大きいですね。あれを機会に、タイの人々の食の嗜好が一気に国際化しました。今が第2次ブームと言えますね。

E(日本食レストラン・マネージャー、タイ人):そうですね。お寿司なんかはその典型。魚を生食するなんて、かつてのタイでは考えられなかった。

C:食に対する認識が劇的に変わりましたね。流通機能が整ったことも大きい。乳製品も良質のものが入手できるようになって、日本食だけでなく嗜好が大きく変わりました。

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今後も、飲食業・食材業は拡大していくのでしょうか?

A:外食産業は当面は拡大を続けるでしょう。人によっては、成長率は10%と指摘する人もいますよ。バンコクだけでも1600店を超える日本食レストランがありますが、まだまだ余地はあると見ています。

B:食材の伸び代もあるように思いますね。例えば、タイにもイチゴはありますが、甘味が薄い。質の良い甘さも十分なイチゴが入ってくれば、消費を掘り起こすことは可能ではないでしょうか。

D:私は少し、行く末を心配しています。確かに出店ラッシュは続いていますが、実は閉店している店も意外に多い。月に直せば5~6店は毎月、店を閉じているという指摘もあります。ひょっとしたら今がピークで、飽和状態に突入したのではという心配です。

そうだとしたら、対策や注意すべき点は何だと思いますか?

E:うちの店はお客さんが90%、タイ人です。同じ日本食を提供する店でも日本人が経営する店と違って、安価で提供することを最優先しています。もちろん、味や鮮度など最低ラインは維持しますが、まだまだタイの一般消費者の所得水準は日本ほか外国と比べて高くありません。

C:食材店も同様です。いくら食の国際化が進んだからと言って、値段の高いものばかりを並べても買えるお客さんはひと握り。ですので、うちの店では品揃えを豊富にして、多様な顧客に対応できるようにしています。

D:そうそう。やはり、いかに中間所得者層の消費意欲を喚起できるかに、外食産業、食材産業の今後がかかっていると言っても過言ではない。そういう意味では、まだまだ可能性はあると思っています。

A:なるほど。身が引き締まる思いですね。

※連載企画「タイの人々の暮らし」は、今回で「食編」を終了します。次回以降は、「住まい」「暮らし」「余暇」などの各編を予定。準備が整うまでしばらくお休みします。

微笑みの国タイ。街を歩けば誰彼となく、笑顔で挨拶を返してくれる。それがタイ。人々は親切で、温かく、また来てみたくなる、心のふるさと。でも、実際に現地のタイの人たちがどんな暮らしをしているのかまではあまり知らない。新企画「タイの人々の暮らし」では、そんなタイ人家庭の様子や、ごく普通のタイ人がどんな暮らしをし、どんなことに関心を持っているのかを一話完結で紹介していく。

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