濃度高まるタイのPM2.5

バンコクの大気汚染

大気中の微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が高まり、バンコクの大気汚染が悪化している。今年に入り、空を見上げると曇ったような霧がかかった日が多く、路上ではマスクを付けた人が増えている。これは朝靄ではない。PM2.5という、大気中に浮かぶ目に見えない粒径2.55マイクロメートル(1マイクロメートル=1mmの1000分の1)の非常に小さい粒子の濃度が高まったことで起こる大気汚染だ。

健康への影響を及ぼす数値

大気汚染を計測(指標)するAQI(0〜500)によると、最近のバンコクは151〜200(赤)で、健康に害を及ぼす域に達しているという。天然資源環境省(公害管理局)によれば、14日のAQIは、サムットプラカーン県プラプラデーン郡で162、バンコク・ディンデン区ディンデン通りで147、同パトゥムワン区ラマ4世通り114と大気汚染による健康への影響を及ぼす数値となっている。ちなみに、バンコクの道路は通常160万台しか走行できないとされているが、実際はその交通許容量の約4.5倍の725万台の車が走っている。(※2012年の統計)

バンコクはマスク必須
バンコクはマスク必須

気管支炎や喘息も

タイ政府は、空気を吸い込んだ際に粒子が非常に小さいため、肺の奥深くまで入り込み、鼻水や目のかゆみといった症状のほか、気管支炎や喘息といった呼吸器系疾患、皮膚疾患、最悪は肺がんを引き起こす原因になると警鐘を鳴らす。特に、花粉症や呼吸器系疾患を持つ人、子供やお年寄りなどは影響を受けやすい。

原因は想像に難くないが、自動車の排気ガスをはじめ、道路工事、工場からの煙、ゴミや森林の野焼きなどで、現在、タイは乾季のため雨がふらず、風の吹かない日が多く、それらの煙や粉塵が滞留することでPM2.5の濃度が高まっているそうだ。これを防ぐには、外にいる時間を減らし、外出の際はマスク着用が必要だが、普通のマスクではPM2.5防ぐ事ができず、N95マスク(米国労働安全衛生研究所が定める)や日本が定める国家規格に基づく防塵マスク(DS1)でなければ効果はないという。

バンコク中心部
バンコク中心部

マスク持ち込み禁止?政府の対策と裏腹な輸入規制

当然、タイ政府も、N95マスクをチャトゥチャックやルンピニ公園などで無料配布を開始したほか、道路の水散布(毎日朝と夕方)、14日には空軍が航空機(BT−67)2機を発信させ、上空からバンコク首都圏に水を撒く、人工雨(Royal Rain)、排ガス規制(老朽化したバスの使用禁止)、野焼きの禁止といった対策を打っている。とはいえ、どれだけの成果が上がっているかは不明だ。

他人(国)任せでいては危険と、海外生活での鉄則「自分の身は自分で守れ」とマスク購入に走るのはいいが、すでにドラッグストアでは災害後に起こる買い占めによる品不足が続き、「次の入荷はわからない」(店頭スタッフ)とのこと。中には、ネット上で「マスクあります」とうたっておきながら、実際には届かないといった、便乗詐欺まで発生しているというよもやま話まである。

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さらに、ネットでは、いち早く友人や知人に頼んだのか、海外製の医療用マスクをタイへ持ち込んだ際に、輸入規制により空港で没収されたという書き込みまでもある様子。パンデミックではないが、確実に情報が錯綜していることは伺え、情報の精度に気をつける必要はあるだろう。1950年代のイギリス・ロンドンでの大規模な大気汚染しかり、日本の高度経済成長期の公害や中国の大気汚染などなど、経済成長を遂げる都市では避けて通れないであろう大気汚染。国の制度変更による改善も大事だが、そうした問題を国民がしっかりと理解した上で行動することも大切ではないだろうか。いずれにせよ「備えあれば憂いなし」である。

大気質情報サイトhttp://aqicn.org/city/bangkok/jp

バンコクの焼けとPM2.5
バンコクの焼けとPM2.5

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