去る2016年12月15日、日本農林水産省主催による「和食ワールドチャレンジ 2016」の決勝戦が、東京都渋谷区にある服部栄養専門学校 ANNEXにて開催された。

今回で4回目となる「和食ワールドチャレンジ」は、過去最大となる世界26カ国から105名の応募があり、我らがタイより応募した「大阪料理 菜の花」で腕を振るうシェフ ソンクラーン・コミュニューさん(以下カーンさんと呼称)が決勝大会予選にて20名の中に選ばれ、更に決勝進出者10名にノミネートされたのだ。

トロフィーを受け取るソンクラーン・コミュニューさん

トロフィーを受け取るソンクラーン・コミュニューさん

激しいバトルと厳しい審査員

決勝進出者は、2時間という限られた時間の中、応募料理一品と課題料理二品(鯵つみれ味噌汁、土鍋炊飯)を作らなければならない。審査員の厳しいチェックの中、カーンさんの手は休むことがない。次にすべきことをとっさに判断し、テキパキと調理を進めていく。同店の主人である井崎弘さんにお話を聞くと「タイの人はのんびりとした国民性のためか、一般的に段取りが不得意。でもコムニューさんは、冷蔵庫の中を見たら、ひと目で今日は、どんな仕込みをしなければいけないのかなどがわかる」とのこと。普段からそういった姿勢は変わらないようだ。

試合中のソンクラーン・コミュニューさん

試合中のソンクラーン・コミュニューさん

10名決勝進出者から選ばれたタイ人

全決勝進出者10名の調理が完了し、一流シェフら5名の実食審査が行われる間、カーンさんに今日の料理の出来を伺ったところ「特に緊張はしなかった。いつも通り、精一杯行ったので悔いはない」とのことだった。結果発表は場所を変え、東京都渋谷区にあるセルリアンタワー東急ホテルにて行われた。

10名の決勝進出者(タイ人のカーンさん他アメリカ人、スリランカ人、スコットランド人、台湾人、シンガポール人、マレーシア人など)は、皆緊張した面持ちでステージに並ぶ。この10名の中から金賞、銀賞、銅賞、つまり3名のみが栄冠を勝ち取るのである。

審査員代表の総評の後、ついに発表の時が来た。

「銅賞の発表です。…タイ代表、ソンクラーン・コムニューさん!」

もちろん次回は優勝を目指す

タイから、そして日本に住んでいるカーンさんの友達から、大きな歓声が上がる。10名の中には、和食一筋20年などといった強敵もいた。だが、そういった強敵を指し抜いて、10名の中の3名、ひいては105名の中のたった3名の中に選ばれたのである。我々ですらこの感激、ご本人であるカーンさんの感激は、なおさらであろうと想像できる。

金賞、銀賞は逃したものの、タイが入賞したことは、今後のタイの和食業界の大きな一歩を踏み出したと言っても、過言ではないだろう。受賞後のカーンさんに感想を聞いたところ「正直、自信はありませんでした。自分の作る作品に自信はあったが、周りがベテラン過ぎるので、まさか入賞するとは思いませんでした。でも今、本当に嬉しいです!タイの和食料理屋で働くタイ人の皆さんも、もっともっと修行し、ぜひ次回のこの大会で優勝して欲しいです」と語った。

「和食ワールドチャレンジ 2016」出品作品は「『蓮根菊花まんじゅう』磯部あんかけ」。レンコンと山芋を合せて作った、もっちりとした食感のレンコンまんじゅうにサラミを仕込み、菊の花びらをまぶして揚げた一品。吉野葛でとろみを付けた海苔を使ったあんの上にレンコンまんじゅうを載せ提供、黄色と黒い海苔あんの色のコントラストが美しい料理に仕上げた。井崎さんからアドバイスを受けながら完成させたこのメニュー。現在「菜の花」でも提供をはじめ、日本人客にも評判だという。

『蓮根菊花まんじゅう』磯部あんかけ

『蓮根菊花まんじゅう』磯部あんかけ

大阪 菜の花:http://nanohanabkk.com/

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