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楽天のタイ撤退と日本企業としてのお行儀

楽天の撤退と海外進出のマナー
楽天の撤退と海外進出のマナー

楽天がタイから撤退した。それに合わせてTARAD Dot Com(タラッド)の代表が地元メデイアを通じユーザーへ下記のメッセージを送った。

“既存の270,000店舗に対して今回の撤退は本体に何も影響はない。引き続き、楽しく、目立つ次世代型サービスに変化させていきます。”

この言葉は、改めて前進を試みる気持ちと、現実として受け止めたくない気持ちが交差しているようにも見える。

楽天がタイで抱えた課題

タイのスワンナプーム空港から警察を先導させ、国賓扱いでバンコクに登場した三木谷社長。日本の“楽天”がタイのTARAD Dot Comを連結子会社化したのは2009年9月のこと。当時、TARAD Dot Comはタイ最大のマーケットプレイスだったため、日タイの一流IT企業がタッグを組んだ事はタイ国内でも大きな話題をよんだ。

楽天 TARAD提携当初の写真
楽天 TARAD提携当初の写真

しかし、楽天は当初からTARAD Dot Comとの業務に数件の課題を抱えていた。それは、設立時から貯まった膨大な顧客データ、古い運営管理システム、そして、タイ国内の物流に関係する問題だった。

著者も当時、実際に出店セミナーに参加して店舗管理画面を確認したが、ページの随所でデザインの崩れやリンクエラーが発生・・・それらの問題について担当者に尋ねると、「過去にプログラマーが何人も入れ替わり、切り貼り状態となったシステムは現段階では手の出しようがない・・・」という不安げな答えが返ってきた事を覚えている。

目的はやっぱ金融事業!?

それらの修復不可能な運営システムの中で、楽天TARADが取り組んでいた事はクレジットカード関連のキャンペーン。2009年当時、タイではまだインターネットでクレジットカードを利用する人がそれほど多くなかったため、カード決済の信用度を上げようと国際カードブランドと連携したプロモーションを積極的に行っていた。

クレジットカードキャンペーン
クレジットカードキャンペーン

また、これらのプロモーション活動は購入者だけでなく、店舗側で問題が発生した場合も上限5万バーツ(15万円前後)まで楽天TARADが保障するという出血サービスまで展開。それによってユーザーの半分近くがクレジットカードを利用するまでに成長した。

当時は何故このような出血プロモーションを展開しているのか理解できなかったが、ここ数年の日本国内での楽天カードの普及を考えると、そもそも楽天は“EC事業”ではなく、“金融事業”としてのアジア展開を目指していたようにも見える。

事業撤退と雇用者への配慮

正月早々アジア4カ国からの大撤退を発表した楽天。連結子会社として運営を続けていたタイのTARADはそれほど大きなニュースにならなかったが、シンガポールでは「正月に30人が解雇通達」という悲惨な状況を地元メディアが大きく報じている。解雇者の今後について楽天は「法的義務以上の補償を与え、解雇通達者の求職を支援する」と発表。しかし、わずか2年という勤務期間では十分な補償は期待できないのが現実だろう。

シンガポールのメディア
楽天の解雇を報じるシンガポールのメディア

新興国で巨額を投じて企業買収も含めたマーケティングに取り組む姿は、さすが野球チームも保有する巨大日本企業といったところ。しかし、それによって進出先の企業や雇用、さらにエンドユーザーが行き先を見失わせる事については、日系企業としての行儀・配慮がもう少し必要だった気がする。

source:sanook、straitstimes

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Written by Ken

Ken

北海道のド田舎に育ち、札幌、東京、カナダ、アメリカ、タイ、ラオス、カンボジア、シンガポール、マレーシア、香港、中国、ベトナム、スイスを体験。酒で語らず珈琲で喋る

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