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バンコクいい店やれる店 〜タコライスに、大きな渦を巻いたアジアの「食」のうねりを感じる〜

本格的雨季に突入したバンコク。毎日雨が降る。蒸し暑い。まあ、雨季なんてこんなもんと思ってる人も多いかもしれないけど、雨は2時間土砂降り、そしてカラッと晴れ上がる、こんな感じの天気がバンコクの雨季だったはず。最近の雨季はどうも切れが悪い。残尿感の残る雨。地球温暖化の影響とかで東京が亜熱帯化しているらしいけど、すでに熱帯のバンコクはどうなっていくんだろう。

東京の亜熱帯化と関係があるかどうかわからないけど、ここ2、3年、日本での沖縄ブームが下火になったとの論調がある。そもそもいつ始まったブームなんだろう。安室奈美恵?ちゅらさん?JALの上々沖縄キャンペーン? 個人的には、南沙織さんのデビューから篠山紀信との結婚までが沖縄マイブームだったけど何か?

ということで、今回は沖縄発のジャンクフード「タコライス」。タコライスの歴史は古くはない。Wikipediaによると、誕生は1984年。当時の円高ドル安で外食を控え始めた沖縄の米兵向けに考案されたメニューで、その後1990年代になって広まっていったらしい。要するに1971年デビューの南沙織さんよりずっとあとに出てきたわけだ。

泡盛の原材料がタイ米で、泡盛の製造法自体がタイから伝わったことは有名な話だが、現在、タイ国内に沖縄料理を出す店は少ない。沖縄料理店はバンコクに2軒。圧倒的な日本料理ブームと沖縄とタイの600年の交流の歴史を考えると、少なすぎる感じもするが、タイ飯と共通な食材が多い沖縄飯がタイでもブームになる可能性は少なくないと思う。

Outer Room

知人の沖縄出身のO君からも「ベスト・タコライス・イン・バンコク」と太鼓判を押されたOuter Roomのタコライス。ご飯の上にはタコミート、レタス、トマト、チーズの基本トッピングの他にハラペーニョ、ワッカモレ、ナチョスなど本格テクス・メクス風のトッピングが奢られる。盛り付けもけっこうオシャレに「カフェめし」っぽい雰囲気。

グローバルダイニング出身のオーナーだけあって、タコライス以外にもパスタからフュージョン系に至る充実したフードメニュー、本格的なカクテルが揃う。落ち着いた店の内装も、1990年代の東京にこんなお店があったかもしれない的な既視感に襲われる居心地の良さ。

金城

さっき登場した沖縄出身のO君のコメントによると、地元沖縄の「食堂」がそのまま引っ越してきたような店、と評価されているプラカノンの金城。沖縄出身の人にとってはかなり居心地のいいお店らしい。お店の内装も手作り感が全面に出ててまさに「食堂」の雰囲気。お店のまわりがプラカノンの裏通りで庶民的な街の中にあるのも一層それっぽさを醸し出している。

ここで出てくるタコライスはまさにフツーのタコライス。バンコクの屋台で出されるカオケーン(皿盛りのぶっかけ飯)の一種といっても不思議じゃないくらい飾りッ気がない風体。

トッピングはタコミート、レタス、トマト、チーズのオーセンティックな内容。ライスとトッピングの境目にバターが塗ってあったのだけど、このバターのおかげで全体がコクのある味わいに仕上がっていたのが印象的。

ニライカナイ

東京の吉祥寺を中心に沖縄料理店やタイ料理店をチェーン展開するニライカナイがタイ1号店としてスクムヴィットソイ26の日本街にオープンさせた沖縄料理のニライカナイ。お店の内装は琉球風にデコレーションされてはいるが、個人的には中央線の吉祥寺から中野、あるいは井の頭線沿線あたりにある無国籍居酒屋に間違って入っちゃったような懐かしい空気を感じてしまう。ちなみに、南沙織さんに憧れていた小学生の頃、住んでいた街は中央線の荻窪だった。

ここのお店のタコライスはタコミート、レタス、トマト、チーズの基本に加え、アボカドの輪切り、目玉焼きが御行儀良く盛りつけられる。味付けは居酒屋メニューとしてはかなりサッパリ系。

Sunrise Tacos

Sunrise Tacosは日本とは縁もゆかりもないメキシコ料理(Tex Mex)のお店。バンコクとパタヤに6店舗を展開し、主にファラン(欧米人)をターゲットに展開してきた。個々のメニューにも何故かタコライスがある。そのメニューの中でTaco Rise & Cheeseと書かれた、タコライスは”日本人とアメリカ海兵隊にインスパイアされて作り出された”と紹介されている。

実際にアメリカのメキシコ飯屋にタコライスはないと思うが、こんな何でもあり的な唐突さがいかにもバンコクらしいメニューかもしれない。イメージとしては、メキシコの結婚式でマリアッチの中に橋幸夫さんがソンブレロを被って隠れていたような感じだろうか。

白飯ではなくコーンやピーマンと混ぜ合わされたメキシカンライスがベースとなったタコライスで、トッピングはタコミートの上にとろけるチーズとチーズソース、それにレタスとトマト。要するに、エンチェラーダやファヒートの付け合せ用のメキシカンライスにタコス用のトッピングを載せただけのもの。お味の方はとってもメキシカンロック。

もとはといえば、琉球料理や和食とはなんの縁もないタコライス。でも、今となっては沖縄を代表するジャンクフード。こんな感じで海の向こうから来たものをどんどん積極的に取り入れるのが沖縄らしいといえばらしい。こういう沖縄の文化性を「チャンプルー文化」と呼ぶらしいが、チャンプルーの語源がそもそもマレー語で、日本語や韓国で言うチャンポンももとを辿れば同じらしい。そのインドネシアやシンガポールでは「ナシチャンプル」といえば、ご飯の上におかずをかけたものの総称。タイでは、こういうぶっかけ飯をカオケーンと呼ぶ。

こんな風に言葉と食文化の流れに思いを巡らしていると、東アジアから東南アジアにかけてのアジアの「食」が長い時間をかけ、そしていまこの時にも大きな渦を巻いたうねりとして、いろいろなものを巻き込みながら進化していく動きを感じる。

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Written by 亞速

亞速

官能都市「バンコク」の情景を現地からの画像を中心に...B級グルメ的な食い物ネタ多し...

2 Comments

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  1. ハイサイ!プラカノン、スクムビットソイ69にある金城です。anngleはいつも愛読させて頂いています!ちょうどご来店頂いていた頃でしょうか、タコライスの改良をしていたんですよ~。先日、新しいタコライスが出来ました。タコミートの中に野菜をたくさん混ぜるようにしたので、上から順にトマト、レタス、タコミート+野菜みじん切り+チーズ+ライスで、ジャンクフードと呼べない健康食に生まれ変わっています。ブログでも紹介していますよ。是非また召し上がりに来て、今度は直接ご意見を聞かせてください!!

    http://kinjo.namjai.cc/e78856.html

  2. コメントありがとうございます。次回は新バージョンのタコライスをいただきたいと思います。

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