アングル
角度を変えてタイからアジアを覗く

アーバンエスニックを提唱するバンコク発のファッションブランド「TRAPS&WANA」

タイ国内で活動する日本人のファッションデザイナーが多数存在することはご存知だろうか。その中でも2005年よりタイ国内で”アーバンエスニックファッション”を展開するTRAPS(トラップス)&WANA(ワナ)はバンコクの日本人ブランドとしては先駆け的存在。

新作コレクションの仕上がりと同時に、自社のオフィシャルサイトやFacebookファンページでも発表。都会的で且つ、ラフなエスニック作品をリリースするたび、俗に言うサイアムっ子(*)や、外国人旅行者の中で電話やメールが毎回のようにとびかう。場合によっては近隣諸国からのホールセールで、店舗販売前のコレクションが即時完売するという事態も起きているようだ。
*都心部のファッションストリートに集う10代半ばから20代半ばのタイ人

ローカルファッション紙でも話題に

そう、TRAPS&WANAは独自の視点でマーケットを捉えた、未だ例のない個性的な日本人による海外発のファッションブランドなのである

メディアプレスの一例(Facebook)

すべての「アクション」が「ツギ」へのヒント

オーナー兼デザイナーでもあるTeppei氏は、昔からの趣味でもあるバイクを操り、毎日のようにバンコク市内のあらゆる路地を走りこむ。そして、次の作品に見合ったTRAPSらしい生地を探し出すことが日課。

記事探索と同時にローカル地帯の新しい裁断工場や、裁縫工場なども見つけ出し、生産効率の安定を図っていて、この寄り道的な行動も、彼にとっては予定通りに作品を仕上げる独自の方法なのである。そのため、多忙な時期によっては1週間で3作以上の新作コレクションを発表し、一カ月以上のあいだ、その激動制作サイクルを繰り返す事もあるとか。

今日見つけた「レア生地」が、毎週のようにして出回ってくるとは限らない。だからTRAPSの作品は全てが限定モノ

建築業者は使わない。全て手作りの実店舗。

タイに滞在経験を持つ方はご承知だと思うが、こちらの建築業者は日系ではない限り工事が確実に遅れる。それが例え大手企業であっても、この問題に関しては今なお悩まされる実情がある。この問題をTeppei氏は自らの建築学科卒業という知識を活かし、これまでのすべてのお店を、自ら設計し、素材を集めて金槌などの工具を使って基本的にゼロからお店を作っている。

服も店も全て手作り

ローカルタイ業者に日本人=金持ちという感覚でぼったくられ、高いお金払い、更に時間的リスクを持たせることは全く意味が無い。

まさにおっしゃるとおり。これも経験から学んだ、彼自身の現場の経験的感覚力の鋭さ。

手作り店舗の一例(Facebook)

「光」と「匂い」と「音楽」の存在

本来エスニックカルチャー(民族文化)には「蛍光灯」という灯りは存在しない。TRAPSのお店のライティングは、生電球を中心に、ほぼ間接照明で装飾されている。木のぬくもりと、それを灯す電球の配置こそが商品を見て頂く上で何より重要なこと。お店の中はいつも自然な関節証明、リラックスを追求するおなじみのお香の香り、そして、旅行者が集めてくる音源やDJとしての経験もある彼独自のトラックを店内でかけて、来客者への洋服を見る時間を「視覚」、「嗅覚」、「聴覚」と3つの感覚で刺激する。

毎週末お客がごった返すJJ店(チャトチャック)

他には真似できないタイローカルへの深い知識

単にファッション業界だけではなく、飲食業界にも言えることではあるが、単にこれまでに入ってきていない素材をこの国に入れたとしても、一人勝ち出来る時代は今や過去の話。このタイ文化への最適な工夫、そして、マーケットの実態、実情をリアルに知ることこそが、彼の大きな「経験」というエネルギーになっているに違いない。例え日本人が入ったことのないローカルストリートでも、彼には「Hey! Teppei」と声がかかるほど。

昨年新たにオープンしたTERMINAL21店

「先進国」という感覚だけではカタチにならない時代

例え、他のローカルブランドにバッグをコピーされたとしても、これをタイの現状として受け入れつつ、ローカルブランドがついてこれないほどの勢いで先を読み、新作のアイデアをみに出し、自分のペースで具現化する。それこそが、オリジナルブランドのあるべき独自の姿。

サイアムの時代が一段落するトシ

先日も、2年前にオープンしたサイアムスクエア店が閉店。「バンコクの原宿」とも言うべく場所からのお店の引き上げは、一見ネガティブなニュアンスを感じるかもしれないが、これもサイアムスクエアの建て直し工事で一時マーケットがゆるみ込む事を見据えた、TRAPSにとっての一時的なエスケープ。特に2010年からのサイアムでの動きはとてつもなく激しかったが、あくまでもそれはローカルへの露出アクション。「多数のお客様が来店し、名前を覚えてくれて、広報的にも開店しただけの価値は十分あった。」とTeppei氏は語る。

手前:KIYOSHI氏、奥:TEPPEI氏

ローカル若年層のマーケットの動き次第で、店舗エリアを売却しつつも、2005年のルンピニーナイトバザール店から現在まで合計9店舗。

それまでは、バンコク市内中心部のショッピングモールラッシュで無差別的な膨張を繰り広げたバンコク一のストリートカルチャーも、時代と共に郊外にも拡散し、やがて一回り広範囲でのまばらな都市として新たな発展シナリオの上で進化するように感じるのが昨今のバンコク。

飯を食べつつ次の計画を立てる・・・

TRAPSの今現在の実店舗としてはモーチットのウィークエンドマーケット(通称JJ)、アソークのTERMINAL 21、チェンマイのJチェンマイストリート。そして、今年はウォーターフロント(チャオプラヤー川沿いショッピングモール)のショッピングモールにも出店予定。モール計画が浮上するたびテナント営業がお店を訪れているようだ。

人の個性を引き立てることがファッションのカタチ

時折の広告代理店が発表する「洋服のシェア率」という言葉はあまり好きではない。本来イメージするファッションとは、作り手、使い手共に、個性を強調するものであり「締め率」を競うものではないと思う。

TRAPS&WANAは、それらを独自の世界で解釈し、且つダイナミックに再現している今最も個性的なファッションブランドではないだろうか。

追記:JJマーケットの住所
Section 26 soi 1 no.327,328
メインロード沿い
MRT カンペンペット駅から30秒

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