自動車修理工場の犬たち 〜 タイノワンコ その8

先週滞在した北部スコータイでのこと。ごはんを食べに行こうと歩いていたら、小さな黒い犬と出会った。大きなトラックの下でくつろいでたその犬は、私が覗き込むと警戒することもなくトラックの下から出てきて、私にまとわりついた。しばらくそこで遊んでいると、そのうちにその犬はトコトコと歩き始める。どこに行くのだろうと思って付いて行くと、すぐそこにある自動車修理工場の前にたどり着いた。

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工場の前では、工場のおばさんや娘たちが簡単なごはんやおかずを作って並べて売っていた。おばさんに聞くと、この小さな黒いオス犬はここで飼われている犬で、名前はスモウ。少し変わった名前だけど、タイの人たちには響きがかわいらしく聞こえるらしい。まだ4ヶ月ほどの子犬だという。おばさんの横には茶色くて大きな犬もいた。どうやらこのおばさんは犬が好きな人みたいだ。

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おばさんたちと立ち話をしていると、足下にまとわりつく犬がいる。スモウかなと思って見ると、スモウではない。でも、スモウと同じ顔をしている。色だけが違う。

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この犬は、スモウの妹のピーポー。スモウと同じで好奇心が強く、人懐こい子犬だ。2頭は子犬らしく遊び好きで、私のジーンズはすぐに泥だらけになってしまった。

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翌日、夕方に自動車修理工場の前を通ったら、工場は定休日なのか閉まっていて誰もいず、犬たちはそこでのんびりとしていた。スモウとピーポーは私を見ると大急ぎで走ってきて、遊びたいのか飛びかかってくる。すると、細身の黒い犬が現れて、私と子犬たちのあいだに入った。吠えはしなかったが、私に向かって厳しい視線を投げかけてくる。

後日、おばさんに聞くと、この犬はダムノーイという犬で、スモウとピーポーの母親だという。道理で私を警戒するわけだ。さすが母親だ。そんな話をしていたら、そのダムノーイが奥から現れた。トコトコと奥の母屋のほうから出てきて、そのままスッと私のところに寄ってくる。まるで子供たちから何かを聞いて、私を悪い人ではないと判定済みかのような不思議な態度だった。

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そして、最初の日におばさんの横にいた大きな茶色い犬が、彼らの父親のユーロ。強面だけど優しい感じの犬だ。この自動車修理工場には、夫婦とその子供たち2頭の、4頭家族がいるということになる。

しかし、この自動車修理工場にはまだもう一頭、まだ生後1ヶ月程度の小さな子犬がいた。名前はグラターン。「鉢」という意味だ。おばさんは、目の前にあった植木の植わった大きな鉢を指差して言う。

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「そこに捨てられていたんだよ」

グラターンは鉢の中から拾い上げられた捨て犬だった。つい最近のことだ。

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もしかしたら、グラターンを置いていった人は、この自動車修理工場にたくさん犬がいることを知ってここを選んだのかもしれない。グラターンは、おばさんやほかの犬たちと一緒に、毎日元気いっぱいに楽しくすごしているように見えた。スモウとピーポー以上に好奇心が旺盛で、毎日近所をあちこち冒険している。走ったり、上ったり、噛んだりと、大忙しだ。優しいおばさんや、家族のような仲間もいる。グラターンにとって、ここに捨てられたのは不幸中の幸いだったのかもしれない。

子犬たちの成長も気になることだし、次回スコータイに来たときにはこの自動車修理工場をまた訪ねてみたいと思う。

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