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角度を変えてタイからアジアを覗く

狂犬病―ちょっとは知っておきたい「タイの病気」シリーズ。第3巻

世界中で今なお年間5万人が死亡する怖い病気、狂犬病。狂犬病ウイルス(Rabies virus)を病原体とするウイルス性の人獣共通感染症。タイなど東南アジアやインド、中国などを旅行する時、特に注意しなければならない病気の一つである。

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ウイルスに感染した動物が噛むことで、傷口から伝染するケースが最も多い。傷口のほか、目や唇など粘膜部を舐められた場合も危険性が高いとされる。ヒトを含む全ての哺乳類が感染し、人への感染源はほとんどがイヌ。ただ希にイヌ以外の野生動物からの感染も報告されているという。ヒトからヒトへの感染例はない。

狂犬病ウイルスは体内に入ると、神経系を介して脳神経組織を目指す。潜伏期間は短くて2週間ほど。脳神経組織から遠い部位である足などを噛まれた場合、到達まで数ヶ月を要する場合もある。

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発症の初期は風邪に似た症状ともされるが、間もなく興奮状態となり、水や風を怖がるように(恐水、恐風症状)。身体の麻痺、精神錯乱などの神経症状にも見舞われ、致死率はほぼ100%。発症後に助かった例は世界中でも数例しかないという。

イヌに噛まれないのが最善の予防策だが、あらかじめワクチンを摂取するか、仮に摂取していなくても、噛まれた部位を直ちに石鹸で洗浄し、医師の診察を受けてワクチンを指定通り摂取すれば助かる。場合によっては、グロブリン(抗体)の投与も必要になる。

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タイでは、イヌと人間は身近な存在。街のいたるところでイヌが寝そべり、人間と生活を共にしている。イヌはもともと人見知りをし、臆病な動物。過度に怖がることで噛まれる危険性も高くなるだけに、イヌに慣れることも重要な予防策の一つと言える。

熱帯に位置する南国タイ。穏やかな気候ながら、旅行者にとっても滞在者にとってもちょっぴり心配なのが、病気に罹った時の対応。海外旅行者保険や医療保険など万が一時の対策は万全に採っていても、どんな病気が多いのか、どんな症状に見舞われるのかまでは意外と知らない。そこで現地の病院に取材してまとめてみたのが本稿。名付けて「タイの病気」。短期連載で一挙ご紹介!

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