レッドブルひき逃げ事件800万円で和解成立。知財侵害も続くなど、踏んだり蹴ったりの創業家一族!

9月4日の未明に起きた飲料大手レッドブル創業者の孫による「警察官ひき逃げ事件」。運転していた車が高級外車のフェラーリだったことや、直後に雇用する自動車整備係の男を「身代わり出頭」させたことも重なって世論の強い批判を浴びていたが、このほど「示談交渉」の結果が警察から発表された。

25日付の英字紙NATIONなどによると、創業者一族ユーウィッタヤー(Yoovidhya)家がひき逃げされたウィチェアン・グランプラサート巡査部長の遺族に支払ったのは300万バーツ(約780万円)。事故を引き起こしたウォラユット・ユーウィッタヤー(Worrayuth Yoovidhya)容疑者(27歳)が乗車時、酒を飲んでいたか、薬物を使用していたかなどの捜査・検証が引き続き行われるが、示談成立により「事件」として立件される可能性はかなり後退したと言っていい。

「事件」後、ソーシャルメディアなどでは、特権的階級社会に対する批判が急増。事故直後のロイター電も「重要なのは、何を知っているのかではなく、誰を知っているのかだ」とする政治コメンテーターの発言を引用して、タイ社会に巣くう矛盾を追及していた。先に、王族の少女が9人が死亡させた無免許による交通事故の裁判で、司法が猶予刑を与えたことも後押しとなった。

滋養強壮剤飲料などとして世界160カ国で販売される「レッドブル」を開発し、タイの大富豪に一躍踊り出たのが、ウォラユット容疑者の祖父で中華系タイ人のチャリアオ・ユーウィッタヤー(許書標)氏。米経済誌フォーブスの試算で、一族の総資産は54億米ドル(約4300億円)ともされる。ウォラユット容疑者はその直系の孫。

一族の後継者となるべき孫が引き起こした今回の「ひき逃げ事件」は、被害者との示談交渉が成立したことにより、レッドブル側にとって司法上の「ヤマ場」は超えたことにはなる。だが、世論の動向は冷ややかで、このところトラブル続きのユーウィッタヤー家をめぐる話題として社会の関心はなお高い。

同家をめぐっては、今年3月にグループ総帥のチャリアオ氏が死去。息子のチャルーム氏が後を継いだが、登録商標などの知的財産権をめぐって周辺各国との間で摩擦が相次ぎ、注目を集めていた。ベトナムではレッドブルのコピー商品がすでに損害が生じるまでに横行。売れ行きに多大な影響が出ている。

フィリピンの市場ではもっと深刻だ。レッドブルのフィリピン国内での販売権をめぐって、地元の代理店が知的財産法違反の容疑でレッドブル側を告訴。いったんは却下されたものの、上訴の結果、司法省の判断で一転して法廷での審理が決まった。

司法判断ともなれば長期化は必至。この間、売り上げにも影響が出るものと見られ、レッドブル側は今年度目標の修正も余儀なくされる。「まさに踏んだり蹴ったりのレッドブル」(流通関係者)。今回の「ひき逃げ事件」は道義的刑事法的にも非難されうるべきだが、その影響が一族の事業にどう出てくるかにも関心が集まっている。

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